以下、「OMソーラーの家 3」(建築資料研究社)1999年10月号より抜粋






  京都府相楽郡/加茂町の家
  延床面積/112平方メートル
  設計/田代純建築設計事務所
  施工/ツキデ工務店


 京都府の南端を流れる木津川沿いの南斜面に、竹林や茶畑に囲まれて建つこの住まいは、もとは京友禅の作業場兼倉庫として使われていた鉄骨スレート葺きの建物を、骨組みと外壁の一部を残して再生したものである。
「あるものを使う」ことによって建築が環境に与える負荷を少しでも減らす、といったストイックな精神よりは、むしろ、OMソーラーシステムを使って太陽熱を集めることにより、倉庫特有のガランとした大きな空間を、住空間として享受できるという楽しさに惹かれて設計を始めた。東西5スパン16.2m、南北1スパン5.2mの何もない長細い架構の中に、必要最小限の間仕切りを挿入することにより、簡素でおおらかなスペースを造りたいと考えていた。とはいえ、元の倉庫のままではスカスカで、いくら太陽の熱を集めても、逃げてゆくばかりで暖まらない。そこで、既設の土間コンクリートの上に50mmの断熱材を敷いて100mmの蓄熱コンクリートを打設し、ここに屋根で集めた熱を蓄えるようにした。外壁面および屋根面については、当初、山形の外側に断熱層を設けることで骨組みを室内に露出させ、倉庫の雰囲気を残そうとしたが、外壁の張り替えを伴うことからコスト的に断念し、鉄骨胴縁の内側から通気ボードを当てて断熱を施す方向を採った。
夏の「涼房」は、斜面に沿った風の流れを恩恵にあずかっている。裏の竹林で冷やされた風が、縦長の窓から流れ込み、居間を横切って斜面を降ってゆく。
木津川の水質問題に取り組んできた施主の要望で、石井式の合併処理層を設置し、処理層の排水と、雨水を集めて地中浸透させようと、庭に池を掘った竣工当初は、雨が降れば溢れる、陽が照れば涸れるといった状態であったが、建主自ら試行錯誤を重ね、竣工後約5年余りを経た今、ヤゴやオタマジャクシも棲み始め、庭の草木と共に、風景の中に溶け込んでいる。(田代 純)

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