この建物が建つ山城町上狛は、京都府の南部に位置し、古代渡来人の狛氏の居住地でありました。このあたりは環濠集落で、いまでも堀の一部や面影が残っています。また町並みも幅の狭い路地で構成され、長屋門を設けた屋敷や「つし」二階建て(二階部分が納戸で高さを低くおさえてある)の立派な民家が多く残っています。
今回建てた離れの敷地内に建つ母屋も「つし」二階建てですが、離れの高さが母屋より高くなることを嫌いますので、屋根勾配を若干ゆるくし、二階は登り天井として建物高さをおさえることで、母屋より低くしています。以前建っていた離れは、床の間のある座敷と二間つづきの平屋で、台所機能はありませんでしたが、今回の建物には台所機能を設け、将来的に母屋とあわせ二世帯、三世帯で使えるようにしています。
玄関庇の柱や垂木には北山丸太を使い、玄関内部の天井は幅480mmの吉野杉の大平底目天井で底目部には煤竹を仕込んでいます。柱は吉野檜で、梁は吉野杉のあらわしの「大和天井」(昔からのこの地域の民家の天井)ですが、一部に以前の離れに使われていた赤松の丸太を再利用しています。また、大屋根はいぶし瓦の一文字葺で、外壁の一部には吉野杉の赤身の板を張って焼板風にし、集落の町並みに馴染むように仕上げています。
この家の暖房はビルトインタイプのFF式(強制給排気)ストーブで、つくり付けのカウンターの下に仕込んでいますが、このストーブ1台で全館暖房が可能です。 |